1991年受信報告

公益財団法人 日本中毒情報センター

1)都道府県別受信件数

’91総受信件数:32,598件,うち一般市民80.9%。対人口10万比:平均26.1件,最高53.8(茨城県)-最低6.3(岩手県)。関東・近畿・東海の3地域(合計25,513件)の全国構成比:78.9%。

2)電話連絡者別起因物質(大分類)別構成比

医療機関からの問い合わせは,医療用医薬品,農薬および工業用品に関するものが一般市民に比べて多い。「消防署,他」からのものは,起因物質分布において「医療機関」と類似している。

3)電話連絡者別年齢分布

対人口10万比受信件数において,1歳未満の年齢層が成人層に比べて約200倍多く,1~4歳児の約80倍である。このうち,一般市民からの問い合わせは,その90.0%が4歳以下の摂取事故によるものである。医療機関からは1~4歳児が全体の37.9%で最も多いが,20~64歳の年齢層も全体の1/3(33.8%)を占める。この場合,65歳以上の高齢者のケースは約10%である。

4)品目別 受信件数

5)起因物質別年間受信件数によるベスト5

家庭用品では,一般市民からの紙巻タバコ・吸殻が異常に多く,蚊取りマット・線香までのいずれもが全体のベスト5にランクされるものである。

6)起因物質別年齢層および性別比較

家庭用品および医薬品は,4歳以下の乳幼児でそれぞれ全体の93%および81~85%を占め,家庭用品では1歳未満の乳児が40%と多いのが目立つ。農薬,自然毒,工業用品は,5歳以上の年齢層が占める割合が多くなる。男女差は,全体的にほぼ同数である。だだし家庭用品と医薬品の4歳以下では男性のケースが女性よりも有意に多い。

7)主な家庭用品の年齢分布

1歳未満のカラムに実線下線で示したように,タバコ,ホウ酸殺虫剤および蚊取りマット・線香の3種は1歳未満の乳児が1~4歳の幼児よりも事故件数が多い。点線を付した基礎化粧品などの7種も全体の1/3かそれ以上を占めている。

8)年齢層別発生動機比較

いずれの年齢層においても,誤飲事故などの不慮の事故が圧倒的に多い.5歳以上に自殺などの意図的摂取が認められる。

9)年齢層別摂取経路

各年齢層において,経口摂取事故が圧倒的に多い。しかし20~59歳では吸入および経皮・咬刺傷がそれぞれ約15および10%を占め,他の年齢層にくらべて多い。

10)発生場所と発生動機の関係

発生動機の種類に関係なく,居住内がほとんど(91~98%)である。

11)年齢層別症状の有無の比較

4歳以下では95%が無症状であるが,5歳以上では有症状率が相対的に高い(約20~50%)。

12)年齢層別回答区分(一般市民)

「直ちに受診」を要するケースは,4歳以下では10%にすぎないが,年齢層が高くなるにつれて多くなる(16~33%)。

13)年齢層別性別比較(医療機関他)

4歳以下では,男性の事故件数が有意に多く,対人口10万比で6~8件の差がみられる。

14)年齢層別摂取経路比較(医療機関,その他)

各年齢層とも経口摂取事故が圧倒的に多い。ただし5~64歳では経口以外の経路もかなりある(15~20%)。

15)摂取経路別発生動機(医療機関,その他)

医療機関では経口摂取経路において,意図的摂取が相対的に多い(19.7%)。また吸入による意図的摂取のケースがみられている。

16)年齢層別症状の有無の比較(医療機関,その他)

4歳以下ではほとんどが無症状であるが,5歳以上では約50~70%が有症状となる。意図的摂取や吸入による事故が比較的多いためと思われる。

17)起因物質別有症状率(医療機関,その他)

家庭用品の有症状率は低く,農薬,自然毒および工業用品は70~80%と高い。医薬品および食品他は40~50%で中間の有症状率である。