2025年受信報告

公益財団法人 日本中毒情報センター

患者年齢層を10歳区分で集計した表を会員限定で公開しています。

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はじめに

公益財団法人日本中毒情報センター(以下JPICと略す)では、中毒110番でのオペレーターによる電話応答のほか、たばこ専用自動応答電話、Webサイト、書籍などの種々の媒体を通じて情報提供を行っている。
本稿では、中毒110番での電話相談の受信記録を中心に集計・解析し、その結果を報告する。

1. 中毒110番受信記録

(1)集計方法

 集計の対象は、2025年1月1日から2025年12月31日までの1年間に受信したヒトの急性中毒に関するデータ24,517件であり、すべて昨年同様の方法で集計・解析した。データには一般専用電話、医療機関専用有料電話、賛助会員専用電話で受信した記録すべてが含まれる。欠損事項については、不明件数として集計対象に加算して、相対構成比を計算した。起因物質について、昨年同様、複数物質に曝露した場合であっても、データ処理上すべて1種として記録し、集計した。また、ペットなどの動物による急性中毒に関する相談は361件であり、別途集計した。なお、各表中の構成比(%)は表示単位未満を四捨五入している。

(2)集計内容とその結果

1) 都道府県別 受信件数と連絡者のうちわけ(表1)

 対人口10万比は例年と比べて全国的に大きな変動はみられなかった。また、大阪およびつくば中毒110番の位置する近畿および関東からの相談の比率は、例年同様に高かった。

2) 起因物質別 受信件数と連絡者のうちわけ(表2)

 一般市民では、家庭用品が54%と最も多く、次いで医薬品が35%であった。医療機関では、医薬品が51%と最も多く、次いで家庭用品が33%であった。

3) 患者年齢層別 受信件数と連絡者のうちわけ(表3)

全体では5歳以下の相談が61%を占め、例年同様の構成比を示した。
連絡者別にみると、一般市民では5歳以下の相談が65%を占め、医療機関では20~64歳および65歳以上(以下成人とする)の相談が52%であった。その他では、学校(保育所等を含む)および高齢者施設からの相談が多く、年齢層別では5歳以下と65歳以上の相談が各26%あった。

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4) 起因物質別 患者の性別と年齢層別 受信件数(表4)

 患者の性別では、家庭用品、医療用医薬品、一般用医薬品、自然毒による成人の事例において、男性より女性の方が多かった。特に自然毒の成人の事例は、女性が男性の2.6倍であった。また一般用医薬品の13~19歳は、女性が男性の3.7倍であった。
年齢層別では、家庭用品、医療用医薬品、一般用医薬品、自然毒、食品,その他はいずれも5歳以下の相談が6割程度を占めたが、農業用品は成人が8割、工業用品は成人が6割であった。

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5) 発生場所別 受信件数(表5)

 例年同様、自宅や実家などの居住内が89%と最も多かった。なお今回より、その他の項目から学校・幼稚園・保育所、車内、高齢者施設、医療施設の件数を表示させた。

6) 起因物質数別 受信件数(表6)

 単独物質の事例が89%で、残りは複数物質の曝露であった。最大は18種の医薬品を摂取した相談であった。

7) 患者年齢層別 受信件数と発生状況のうちわけ(表7)

 各年齢層において、誤飲・誤食・誤使用などの不慮の事故が多かった。とくに5歳以下ではほぼ100%、65歳以上では94%が不慮の事故で例年同様の傾向を示した。一方で、13~19歳では、自殺企図などの故意の事故が42%を占め、2024年36%から増加した。

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8) 年齢層別 曝露経路別 受信件数(表8)

 複数経路の場合は、各経路をそれぞれ1件として計上し、のべ件数で表示しているため、表8の合計値は他の表の合計値より多くなっている。年齢層に関わらず、経口曝露が最も多かった。20~64歳では、吸入曝露が他の年齢層に比べて多かった。直腸,膣内挿入は5歳以下の事故が多く、ほとんどが坐剤の誤投与であった。

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9) 起因物質別 年齢層別 曝露から受信までの症状の有無(表9)

 すべての起因物質において、5歳以下の有症状率は3割未満であった。一方、13歳以上の有症状率は高く、20~64歳では農業用品、自然毒、工業用品、食品,その他で7割を超えていた。13~19歳では一般用医薬品と工業用品の有症状率が約8割であり、一般用医薬品では意図的摂取が、工業用品では学校の実験中の事故が多かった。

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10) 起因物質分類別 受信件数上位品目

 (1)誤飲・誤食等について(表10-1)
 表10-1は、誤飲・誤食以外に、誤使用や医療上の事故なども含む。
5歳以下において、家庭用品ではたばこ関連品による事故が最も多く、次いで化粧品であった。医療用医薬品と一般用医薬品ではともに中枢神経系用薬が最も多かった。6~19歳では医療用医薬品の事故が多く、薬を服用する際に誤って親やきょうだいの薬を飲んだ、量を誤ったなどの医療上の事故が9割以上を占めた。20~64歳、65歳以上でともに多かったのは家庭用品の洗浄剤で、中でも塩素系漂白剤使用中の希釈液の誤飲が多かった。また、20~64歳の一般用医薬品では動物用医薬品の誤飲が2024年より増加した。

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 (2)自殺企図について(表10-2)
 例年同様に中枢神経系用薬の割合が高く、医療用医薬品の中枢神経系用薬が42%、次いで一般用医薬品の中枢神経系用薬が18%であった。

11) 品目別 受信件数(表11)

 大分類別に、品目別受信件数を受信件数の多い品目順に示した。

 家庭用品のうち、たばこ関連品では、加熱式たばこ(吸い殻、浸出液含む)の相談件数が、2023年1,136件、2024年1,245件から2025年1,466件と増加し、たばこ関連品の74%を占めた。また、かぎたばこ(オーラルたばこ)の相談は、2024年4件から2025年23件に、液体タイプ(ニコチン含有)の電子たばこは2024年2件から2025年14件に増加した。他に、芳香剤(線香を含む),消臭・脱臭剤が2023年649件、2024年622件から2025年734件と増加した。5歳以下の誤飲事故が多く、うち約2割が高吸水性樹脂製のビーズ状の製品の事故であった。用途外の使用による事故として、消臭ビーズをペットボトルなどに入れて玩具として子どもに渡し、フタやつなぎ目が開いて、こぼれたビーズを子どもが誤飲する事故が38件あった。

医療用医薬品では、不眠症治療薬が2023年69件、2024年74件から2025年95件と増加した。また抗ウイルス剤が2023年80件、2024年81件から2025年130件と増加した。

一般用医薬品では、デキストロメトルファン含有鎮咳薬による自殺企図や乱用などの故意の事例が、2023年70件、2024年53件で、2025年も62件あった。そのうち57件は、2021年8月に発売された、医療用医薬品と同量を含有する鎮咳剤であり、年齢層は10歳代が40件と多かった。また、動物用医薬品に関する相談が2023年99件、2024年98件から2025年146件と増加した。ペットの薬を小児が誤飲したのが74件、自身や子どもの薬と誤認して投薬したのが57件あった。

食品、その他では、健康食品が2023年168件、2024年169件から2025年247件と増加した。特にグミタイプのサプリメントが2023年16件、2024年33件から2025年54件と増加しており、うち5歳以下の誤飲が41件と約8割を占めた。

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12) 発生時刻分布(図1)

 中毒の発生時刻の傾向を把握する目的で作成したものである。JPICへの相談状況からみる限りでは、発生は例年同様、午前7時から午後10時の生活時間帯に多く、ピークは午後5時から午後8時台であった。

13) 動物の中毒に関する受信件数

 動物の急性中毒に関する相談は361件であった。

(1)起因物質別 受信件数と連絡者のうちわけ(表12-1)

動物では家庭用品が48%と最も多く、次いで医薬品が26%であった。

(2)起因物質分類別 受信件数上位品目(表12-2)
 品目別では、植物、食品、殺虫剤などの相談が多かった。

2.たばこ専用自動応答電話

2025年のたばこ専用自動応答電話の利用件数は2,091件(1日約5.7件)であった。この件数を加えると2025年1年間にJPICが受信したたばこに関する相談件数は4,065件となる。

3.日本中毒情報センターWebサイト

2025年のアクセス件数は約24万件で、そのうち医療関係者向けページへのアクセス件数は1.6万件であった。花粉症の薬、スイセン、硫化水素、子どもに薬を飲ませる際の事故、カフェインを含む食品など、防水スプレー、グミタイプのサプリメント、ギンナン、帰省先での子どもの誤飲事故について中毒事故予防のため啓発資料を定期的に掲載した。

おわりに

近年、若年者の一般用医薬品の濫用は社会問題となっており、JPICでも13~19歳の一般用医薬品の相談は、意図的摂取が多かった。2026年5月1日から新たにジフェンヒドラミンとデキストロメトルファンが「指定濫用防止医薬品」に指定されたことから、今後、故意の事例の減少が期待される。一方で、新たに不眠症治療薬のラメルテオンが、スイッチOTC医薬品として2026年7月に発売予定であり、今後の動向を注視したい。JPICでは引き続き新しい製品による事故動向を速やかに察知し、製造事業者や行政との連携をさらに強化して事故情報を共有するとともに、WebサイトやXで事故防止につながる情報発信を的確に行っていきたい。
最後に中毒110番の電話番号およびWebサイト、Xアドレスを紹介する。

  [電話]
    ・ 一般専用電話(情報提供料無料、通話料のみ)
       365日  24時間対応
       (大阪) 072-727-2499
       (つくば)029-852-9999

    ・ 医療機関専用有料電話(情報提供料:1件につき2,000円)
       365日  24時間対応
       (大阪) 072-726-9923
       (つくば)029-851-9999

    ・ 賛助会員専用電話 
       賛助会員(医療従事者、医療機関、行政など)にのみ電話番号を通知する、年1回更新

    ・ たばこ専用自動応答電話(情報提供料無料、通話料のみ)
       365日  24時間対応
        072-726-9922

 [Webサイト・X]   Webサイト:https://www.j-poison-ic.jp
   X:https://x.com/JPIC_Poisoninfo
 なお、賛助会員についての資料請求は、以下へお申し込み下さい。
    公益財団法人 日本中毒情報センター
     本部事務局 FAX:029-856-3533
           E-mail:head-jpic@j-poison-ic.or.jp